レッド・ホット・チリ・ペッパーズ @ 東京ドーム (6th Jun '07)
泣けるチリペッパーズ
東京ドームの周りを囲む入場を待つたくさんの人たちの発する活気に自分もテンションが上がっていく。2006年10月10日以来の東京ドーム。あのときも、異様な熱気に包まれていたのだ。列にしばらく並んで席に着くと、ほぼ満員に近い状況である。定刻から20分くらい過ぎて場内が暗くなりメンバーが登場する。
ジョン・フルシアンテが枯れた味わい深いギターをゆっくり弾きだし、フリーのベースとチャドのドラムが続く。最近のチリペッパーズは、こうした音もだすのだ。突然、ジョンのギターが唸りを上げ、激しいジャムセッションになったあとで、アンソニーが現れる。
そして"キャント・ストップ"へなだれ込み、会場全体から歓声があがり、この日のライヴが動き出す。席のせいなのかドームなのに変な反響もなく、ジョンのギターがいい音で聞こえるし、アンソニーの声も通っている。音が鮮やかに伝わってくる。そして"ダニー・カリフォルニア"で早くもピークを迎える。
この日は、割と激しい曲とそうでない曲が交互がやってくるような感じで、今までのチリペッパーズと、現在のチリペッパーズの姿を感じさせるような選曲になっていた。高揚と泣き、光と影、明と暗が意識されていたようなものだろうか。恒例になったジョンのソロ・コーナーはABBAの"SOS"。あとクラッシュの"ロンドン・コーリング"から"ライト・オン・タイム"へ雪崩れ込んだりする。そして、この日一番のサプライズは『母乳』に入っている、スティーヴィー・ワンダーのカヴァーである"ハイヤー・グランド"だろう。このときの歓声の沸き上がり方はすさまじかった。"アラウンド・ザ・ワールド"や"バイ・ザ・ウェイ"の定番の曲はやっぱり盛り上がる。
ジョンの成熟した、泣くようなギターが沁みてくる。こんな広い会場で、一人一人の心まで届くようなギターを聴けるとは思わなかった。この日の主役はジョンのギターだった。もちろん、アンソニーの歌声も優しく、十分に心に届く。東京ドームという音楽には不向きな会場で、バンドと個人が向き合えているような空間を作り出すことができるのはやっぱり、数々の経験を潜り抜けてきたチリペッパーズだからだといえる。それは、アンコールを求めるお客さんたちの声の大きさが物語っていた。
そしてアンコール…… チャドのドラムソロに、フリーのトランペットのあと、"アイ・クド・ハヴ・ライド"と"パワー・オブ・イコーリティ"。どちらも『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』に入っている曲ではあるのだけど…… どうせやるならみんなが待っていた"アンダー・ザ・ブリッジ"と"キブ・イット・アウェイ"で締めてもらえなかっただろうか。特に、"アンダー・ザ・ブリッジ"は、こうした、枯れていながらも、よく泣くギターとアンソニーの優しい声が聴ける今だからこそ、大観衆の中で体験したい、むしろこういう場だからこそ映える曲だと思っていたから期待していたし、実際、前日はやったようなのだけど……。素晴らしいライヴだった。そこで定番の曲で締めなくても、レアな選曲を聞けたのがよかったとも言えるわけで…… と心は乱れる。果たして大阪はどんな選曲になるのか!?
-- setlist --
Intro / Can't stop / Dani california / Otherside / 21st century / Fortune faded / Warlocks / Parallel universe / SOS / Snow / Higher ground / Strip my mind / Around the world / Hey / Right on time / Jam〜hump de Bump / By the way
-- encore --
Drum solo / Flea's trumpet solo / I could have lied / The power of equality |
「Red Hot Chili Peppers 2007World Tour」
6月5日 東京ドーム
6月6日 東京ドーム
6月8日 京セラドーム大阪
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