シベリアン・ニュースペーパー
@ 神戸ヴァリット (21st July '07)
神戸Varit3周年記念ライブにて
『Varit 3rd Season Party vol.2〜Earthling〜』と題されたイベントに出演するシベリアン・ニュースペーパーを見るために訪れた神戸。ライブ会場となる神戸Varitは三宮駅から西へ徒歩5分ほどのところにあった。学生時代を神戸で過ごしたとはいえ、その中心地である三宮からは離れていたため、この辺りには詳しくない。それでも、数年ぶりに訪れたこの街の空気はどこか懐かしく、そして、心地よい。おまけに、このライブ・ハウスもまた、居心地のよい素敵なハコであった。そんな神戸Varitは今年で3周年を迎えたということで、それを祝うイベントの一環であるということはそのタイトルからも想像していただけることであろう。
ちょうど1週間前の7月14日、京都駅ビルでの無料ライブをレポートする予定でいたのだが、台風接近の影響によりイベントは中止。梅雨明け間近であるにも関わらず、この日も天気予報を眺めるかぎり、傘は手放せない。バンド内に「雨男」でもいるのだろうか(どうやらいるらしい)。1週間後の7月28日はフジ・ロック・フェスティヴァルに出演する彼ら。果たして、満点の星空の下で演奏することができるのだろうか。
今までに数回、彼らのライブに足を運んだが、ワンマンを除いていずれもトリのひとつ前の出演であった。だが、この日は彼らがトリ。決して多くの観客で埋まっているというわけではなかったのだが、アンコールを求める拍手が起こり、やや驚かされた。いい会場にはいいお客さんがつく、ということなのだろうか。
メンバーが7名のため、毎回、ステージの大きさによってそれぞれの楽器の配置も変わるのだが、この日はギター担当のふたりが中央から正面を向くかたちで座り、いつもは中央に立つことが多いヴァイオリニストはステージの端に。
毎回変わるのは曲順も同様で、この日は、雷に打たれて声を失った女性の物語から作られたという'Ms Silence'からスタート。アルバムを1枚出しているとは言っても、ライブではどんどん新曲も披露する彼ら。この日演奏された10曲のうちアルバム収録曲はその半分にあたる5曲。2ヶ月ほど前に完成したという'Newdelhi Stream'を聞いたのは初めてだったのだが、次のアルバムには一体どんな曲たちが収められるのだろうかと、つい期待を大きくしてしまう。
アコースティックでありながら、ジャンル分けするのが難しいほどにさまざまな要素を取り込み、時に優雅で美しく、時に激しくすさまじいエネルギーを感じさせてくれるステージでの彼ら。しかしながら、曲紹介もする傍ら、なぜか観客を和ませるようなMCを聞かせるというおもしろい一面も持ち合わせている。インストゥルメンタルな曲を演奏するバンドではあるが、おそらく、そうであるが故に、いろいろな意味で言葉の重要性をしっかりと理解しているバンドでもあるのではないだろうか。ステージ上で話すのは主にリーダーである髪をばっさり切っていたギターの阿守氏。だが、この日は珍しくヴァイオリンの土屋氏も積極的にマイクを持ち、ダブルMC状態に。関西人対関東人のちょっぴりボケとツッコミ風なやりとりになってしまうのもまたライブならでは。
現在、主に関東(東京)と関西(大阪、神戸、京都)でのライブ活動が多いシベリアン・ニュースペーパー。対バン形式のライブ・イベントにおいて、他のバンドを見に来て初めて彼らのことを知りファンになったという人もちらほらと会場で見かけることもある。多くの人に知ってもらうためには、やはりライブ活動というのは、いわゆるメジャーなレーベルのバンドでない限りは、とても重要。全国各地から(海外からも)大勢の音楽ファンが集まってくるフジ・ロック・フェスティヴァルという大きな舞台で、たくさんの人の心に彼らの音楽が届くといいのにな、と思う。どうか、星空の下で……。
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--setlist--
Ms.Silence / Gavotte / Whalerider / Ma Fiancee Aux Gants Vert (緑の手袋をした私のフィアンセ) /
Newdelhi Stream / 僕の村は戦場だった / Kathomandu Noir / 柵から逃げだし亡命する軍馬の話
-encore-
April season from Adoria / Word Robin Talks Are
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report and photos by miyo
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2007
神戸Varit3周年記念ライブにて : シベリアン・ニュースペーパー (21st July @ 神戸ヴァリット)
ラスト・ストップ : デイヴ・マシューズ・バンド (30th May @ ウェンブリー・アリーナ)
モノクロ、メタル : ロドリゴ・イ・ガブリエラ (28th May @ カーリング・アカデミー・リバプール)
これが、アイシス : アイシス (26th May @ コーポレーション)
ザ・ミリマー・ディザスター : ザ・ミリマー・ディザスター (14th May @ バーミンガム・アカデミー2)
ザ・デストラクション・オブ・スモール・アイデアズ・ツアー : シックスティーファイブ・デイズ・オブ・スタティック (14th May @ バーミンガム・アカデミー2)
旬のものは旬のうちに : ザ・マカビーズ(6th May @ マンチェスター・アカデミー2)
光と音の洪水の中で : ジ・アーリー・イヤーズ(4th May @ ザ・ウインドミル、ロンドン)
CD review シックスティーファイブ・デイズ・オブ・スタティック : "ザ・デストラクション・オブ・スモール・アイデアズ" (25th Apr.)
三者三様 : ドン・キャバレロ (24th Apr. @ 心斎橋クラブクアトロ)
また来たのと言うなかれ : シックスティーファイブ・デイズ・オブ・スタティック (25th Mar. @ 渋谷クラブクアトロ)
一度は見ておくべきもの : コンヴァージ (12th Mar. @ 心斎橋クラブクアトロ)
オオサカ発、セカイへ : シベリアン・ニュースペーパー (2nd Feb. @ 梅田シャングリ・ラ)
贅沢なひととき : キャレキシコ (24th Jan. @ 心斎橋クラブクアトロ)
2006
ザブトン席にて : シベリアン・ニュースペーパー (17th Dec. @ ヘップ・ホール)
圧巻のツアー・ファイナル : モグワイ (12th Nov. @ リキッドルーム恵比寿)
光と音 : モグワイ (11th Nov. @ 新木場スダジオ・コースト)
轟きとどよめき : モグワイ (8th Nov. @ 難波ハッチ)
ライブ治癒力 : ミステリー・ジェッツ (4th Nov. @ 心斎橋クラブクアトロ)
コラム バック・カタログ : アレクシス・コーナー(31st Oct.)
CD review ジ・アーリー・イヤーズ : "ジ・アーリー・イヤーズ" (25th Sep.)
東名阪 : ザ・フューチャーヘッズ (6th Sep. @ 渋谷オー・イースト)
まったりと : ザ・フューチャーヘッズ (5th Sep. @ 名古屋クラブ・クアトロ)
温度差なんて : ザ・フューチャーヘッズ(4th Sep. @ 心斎橋クラブクアトロ)
初来日ライブ・レポ : シックスティーファイブ・デイズ・オブ・スタティック (15th Aug. @ タワーレコード渋谷店)
踊れよ : ブンブンサテライツ (25th Jun. @ 大阪ビッグ・キャット)
デカイ声だからじゃないですよ : ソウル・フラワー・ユニオン (23rd Jun. @ 心斎橋クラブクアトロ)
撮りきれない魅力 :ベン・ハーパー & ジ・イノセント・クリミナルズ (7th Jun. @ 難波ハッチ)
CD review ジョン・ピール・アンド・シーラ : "The Pig's Big 78s" (26th May)
CD review スコット・マシューズ : "Passing Stranger" (5th May)
ウクレレとセピア色な歌声と :ジャネット・クライン (23rd Apr. @ 心斎橋クラブクアトロ)
CD review アレクシス・コーナー : "kornerstoned" (19th Apr.)
レディオ・プロテクター・UK ツアー2006 : シックスティーファイブ・デイズ・オブ・スタティック (06/03/03 @ Sheffield The Leadmill and 06/03/04 @ Manchester Academy 3)
半年後調査 : ジ・アーリー・イヤーズ (5th Mar. @ バー・アカデミー・バーミンガム)
気負うことなく : NMEアワーズ・ショー 2006 feat. ナイン・ブラック・アルプス、ザ・ロングカット、ウォルフマザー (24th Feb. @ ロンドン・ハマースミス・パレ, ロンドン)
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