シベリアン・ニュースペーパー
@ 神戸 カフェ・フィッシュ (8th Aug. '07)
ガラス張りのカフェにて
神戸元町駅から海側へ歩くこと7分。大きな魚のオブジェが見えたらそこが神戸カフェ・フィッシュ(Cafe Fish!)。以前はフィッシュ・ダンス・ホールという名で使われていたところ。とは言っても、残念ながらその当時のことはよく分からない。そのすぐ先はメリケン・パーク。潮風を感じながら散策すれば「港街、神戸」を実感できる場所。そして、もちろん、決して風化させてはいけない阪神淡路大震災への人々の想いも感じとることができる。
この日の競演はインディゴ・ジャム・ユニット(indigo jam unit)のみ。午後8時開演というやや遅めの時間設定ということもあってか、開場時間の午後7時をほんの少し過ぎていただけにも関わらず、会場内に入るとテーブル席に空きはない(70席ほどだったか)。想像していた以上にどんどん客が入ってくる。店の人たちが「今日は思った以上にかなり入っているよね」なんて話しているのが聞こえてきた。もちろん、以前に何度かライブ会場で見かけたことのある「常連さん」の姿もあちこちに。
午後8時、まずはシベリアン・ニュースペーパーから。2階にある楽屋から降りてきた彼らの表情を見て、まずはひと安心。いつもの彼らだ。なにせ、10日ほど前に行われたフジ・ロック・フェスティヴァル、ジプシー・アヴァロンというステージでの彼らは、見ているこちらが心配してしまうくらい緊張していたのだから。星空の下でというわけにはいかなかったが、雨は降らず、野外という開放感たっぷりの会場で、演奏そのものは決して悪くはなかった。初めて彼らのライブを見るという人が大多数を占めるというあの場で、通りすがりの人の足を止めてしまうくらい、多くの人の心に何かが届いたのだろうと思う。それでも、あんなに堅い彼らを見たのが初めてだった自分にとっては違和感があったと言わざるを得ない。
カフェ・フィッシュはガラス張りの会場であるということで、外から中が丸見え。残念ながら、ステージの背後に港街の夜景が見えるというわけではない(山側なので)。しかしながら、通行人が「なんかやってんの?」「誰のライブ?」といった表情で興味深そうに中を覗いているのが見られるという、なかなか珍しい光景だった。
ライブ・ハウスのような照明もなければ、天井から吊り下げるスピーカーもない。高い天井にアコースティックな楽器たちの自然な音がよく響く。演奏者側はやりにくいのかもしれないが、個人的には、これくらいの響き渡り方がとても心地よいと感じる。特に、フジ・ロックの際に聞こえにくかったヴァイオリンの音は、この日はとても澄み切っていて、まっすぐココロに響いてきた。
ライブ中盤、この日はさらに新曲を披露。"サン・ジェルマンの殉教"という静かな、そしてどことなくオリエンタルな雰囲気の漂う作品。こうした新しい楽曲たち、もうそろそろ何か手元に残るカタチでも聴き手に届けて欲しいな、と強く感じたのは、こちらも最近ライブ・セットに加わった"ニュー・デリー・ストリーム"という曲を聞いている時だった。海外のバンドなどでは、ライブで披露された新曲が簡単に映像サイトなどに出回ってしまうこのご時世。新曲ができるとデモ・ヴァージョンとして自らのサイトに置くバンドもいる。いろいろとややこしいことが絡むのだろうが、"柵から逃げだし亡命する軍馬の話"と同じくらい彼らの魅力を伝えるのにもってこいのこの楽曲、ライブ音源などという形式でオフィシャルに聞かせてもらえるとうれしいのだが……。
新曲は「小出し」にしていくという彼ら。それがどのようなものなのか、次回、関西エリアでのライブは9月19日大阪、梅田にあるシャングリ・ラというライブ・ハウス。現時点で詳細は明らかにはなっていないが、自らが企画したイベントということになっているのだそう。一体、どんなものになるのやら。
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--setlist--
Ms.Silence / Gavotte / Whalerider / Ma Fiancee Aux Gants Vert (緑の手袋をした私のフィアンセ) /
April Season from Adoria / St.Germainの殉教 / New Delhi Stream / Kathomandu Noir /
柵から逃げだし亡命する軍馬の話
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report and photos by miyo
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2007
ガラス張りのカフェにて : シベリアン・ニュースペーパー (8th Aug. @ 神戸カフェ・フィッシュ)
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