ファウンテインズ・オブ・ウェイン @ リキッドルーム恵比寿 (16th Oct '07)
ようやく秋がやってきた感じの東京・恵比寿。ファウンテンズ・オブ・ウェインというと、99年のフジロックや04年のサマーソニックと、自分が彼らを観たのは夏フェスだったので、なんとなく夏のイメージを勝手に持っていた。こんなに涼しいときに彼らを観るなんてなんか奇異な感じもする。ソール ドアウトと伝えられたリキッドルームは、身動きが取れないほどの満員ではないけれども、20代後半から30代半ばくらいの、ちょっと落ち着いた男女のお客さんたちで埋め尽くされていた。なんだか99年あたりにロック系のクラブに通っていた人たちの同窓会みたいな感じもする。始まる前はザ・ジャムの"イン・ザ・シティ"やクィーンの"ドント・ストップ・ミー・ナウ"などが流れて、バンドのルーツの一端がうかがえる。
10分押しくらいでメンバーが現れて、"レッド・ドラゴン・タトゥー"からライヴが始まる。サポートのキーボーディストを含む5人編成、ひとりだけいかにもロッカー風の出で立ちのリード・ギターのジョディ・ポーター以外は服装も地味で、いまだに普通の大学生ぽい感じを漂わせている。曲の間には、お客さんに向けて何度も気さくに語りかけて笑いが起きている。気張らない・飾らない等身大の姿勢はずっと変わっていない。新作が中心ではあるけど、1stアルバムから新作まで満遍なく選曲される。こうして彼らの歩みを振り返るようなステージを観ていると、ポップでみずみずしいメロディを持つ曲は、ずっと変わらないでいるのだと改めて思った。
途中アコースティック主体で数曲挟みつつ、"デニース"から始まり、"ステイシーズ・マム"〜"ラディエーション・ヴァイブ"〜"イット・マスト・ビー・サマー"と続いた本編後半の流れは、古いファンには感涙の選曲。"デニース"のサビではハンドクラップ大会になり、間髪入れずに演奏された"ステイシーズ・マム"のイントロで大歓声だった。そして、1stアルバムから"ラディエーション・ヴァイブ"でノスタルジーに浸らせ、本編を締めた"イット・マスト・ビー・サマー"は、あの夏、99年のフジロック、晴れ渡る空の下のホワイト・ステージを思い出させた。一度聴いたら忘れられないメロディが軽快なバックによって鳴らされると、考えてみれば、まだ8年前だからそんなに古くはないけども少々懐かしいという言葉が浮かんでくる。
アンコールに応えて、まず「アメリカでは、カントリーのミュージシャンがたくさん稼いでいるんだ」と、カントリー風の"ファイアー・イン・ザ・キャニオン"を演奏。カントリーなのに、違和感なくしっかりファウンテンズ・オブ・ウェインの曲になっている。続いて、1stアルバムから"シック・デイ"、そして"ノー・ベター・プレイス"。演奏終わると、再び大きな拍手が起こって、もう一度彼らが現れ、2度目のアンコールに応えて"トラフィック・アンド・ウェザー"、1stアルバムから"ジョー・レイ"、そして"ボウト・フォー・ア・ソング"。どちらのアンコールの3曲も新作・処女作・前作という同じ構成。彼らの律儀な感じが伝わる。懐かしいのに新鮮、もう10年選手なのに(無理しない形で)若々しい。そんな相反することを成り立たせてしまうのが、このバンドの魅力なんだろう。終わって客電が点くと、ビリー・ジョエル"ピアノマン"が流れて、感傷的な気分で会場を後にしたのだった。
-- setlist --
Red Dragon Tatoo / Maureen / Mexican WIne / Someone To Love / Yoland Hayes / Leave the Biker / Hackensack /Troubled Times / Hey Julie / Strapped For Cash / Hotel Majestic / Denise / Stacy's Mom / Radiation Vibe / It Must Be Summer /
-- encore 1--
Fire in The Canyon / Sick Day / No Better Place
-- encore 2--
Traffic and Weather / Joe Rey / Bought For A Song
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report by nob and photos by izumikuma
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mag files : Fountains of Wayne
あの夏の同窓会 (07/10/16 @ Liquidroom Ebisu) : review by nob, photos by izumikuma
photo report (07/10/16 @ Liquidroom Ebisu) : photos by izumikuma
CD review : トラフィック & ウェザー (07/06/18) : review by hara
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