モーサム・トーンベンダー @ 渋谷AX (6th Dec. '07)
ライトセーバー、剣の舞
遅れて会場に着いて、扉を開けると、ステージから獰猛な怪獣が暴れているように爆音を轟かせているのが見えた。だが、久々に観るモーサム・トーンベンダーは、終演後のロビーを見回すと、仕事帰りの人も多く、お客さんの年齢層が上がったなと思うとともに、モーサム自体も変わってしまったと思わずにはいられなかった。自分が初めてモーサムを観たのは2001年だから、もう6年も経っている。その間、演奏する会場も、当時は下北沢シェルターだったが、今では渋谷AXで何度もできるようになっていった。
すさまじい迫力の轟音ロックナンバーもあるし、"DAWN ROCK"のような古い曲もやったのだけど、"パーティーは続くよ"、"Lost In the City"や"INTORODUCTION〜Bad Summer Day Blues"のように、打ち込みを大胆に使ったテクノな曲も増えた。打ち込み自体は意外でも何でもなく、『TRIGGER HAPPY』のころから、打ち込みの曲はあって、そのときはまだ実験的な意味合いがあった。だけど今はもっと下世話な、それこそジュリアナ東京でかかりそうな、快楽的で、踊るという機能に徹したダンスナンバーなのである。武井はベースを置いて、ライトセーバーをバトンのようにくるくる振り回して踊っている。もちろん、百々のヴォーカルとノイジーなギター、藤田のシンプルなセットから繰り出される迫力あるドラムはちゃんとあるけど、ありえないくらいすさまじい量のストロボが点滅し、巨大な音量でシンセが鳴り響くとき、「モーサムもいつの間にか、ここまで来たのか」と感慨深くなった。
そんなダンスな曲と、ハードでガレージな曲が混在して、ワケわからん、けど面白いライヴになっていた。同じことをやって煮詰まるよりは、これくらい大胆な方がよいかも知れない。U2だってブランキー・ジェット・シティだって、それまでのファンが戸惑うように変化したときがあったし、長く続くロックバンドには必要な転換点なのだと思う。アンコールは、轟音ギターが会場を覆い尽くす"GREEN&GOLD"、そして打ち込みの原点と言うべき"hang song"。"hang song"で武井は、いつものようにトランペットを吹き鳴らす。そしてまたライトセーバーを振り回して踊る。
以前のような身を削るような緊張感は若干薄まって、バンドとして大きくシフトチェンジに踏み出した勇気は素晴らしい。いくらジュリアナなダンスを導入しても、彼らの色が強すぎて、セルアウトした印象が全くない。彼らがどのようになっていくのか、混沌として分からないけど、ダンスから始まってロックになっているブンブン・サテライツと、ロックから始まってダンスに近づくモーサム・トーンベンダーとの対バンが観たくなった。
-- setlist --
Young Lust / ロッキンルーラ / 13 HOT DOGS / Interlude〜L.O.V.E. / You are Rock'n Roll / ハラヒレ / DAWN ROCK / BLACK X'mas / 秘密にしようよ / ルルル / パーティーは続くよ / Lost In the City / Have you ever seen the Stars? / エンゲルロージー / TIGER / ばちかぶれ! / We are Lucky Friends / INTORODUCTION〜Bad Summer Day Blues / 18(eighteen)
-- encore --
GREEN&GOLD / hang song
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report by nob and photos by hoya
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