スカーレット @ 代々木ザーザズー (18th Dec. '07)
押さば引け、引かば押せで疾走するポップ
相手が押して来れば下がり、引いて来たら寄って間合いを保つ。相手の力を利用して自分も技を仕掛ける。格闘技におけるこの極意は、どうやら柔道だけに当てはまることじゃ無いみたいだ。
約二年ぶりに新譜、『ショート・フィルムズ』をリリースし、「光射すポイントツアー2007」ツアーの最終日を迎えたスカーレット。開演前のステージに目をやれば、機材の上に赤いクリスマスのロゴ、そしてサンタ姿のぬいぐるみが飾られてあるのが見える。客電が落ちてメンバー三人が登場すると、ツイン・ボーカルの一方を担うベースの束紗は、ピックを口にくわえながら現れた。
「タバサ愛してるよー!」
ステージに向けてラヴ・コールが飛ぶ。彼女は去年から今年にかけて、浅井健一のソロ活動でサポート・ベーシストを努めている。それをきっかけにリスナーの層が広がり、彼女自身も音楽に対しての心構えで学ぶところが大きかったという。
でもスカーレットはそれだけのバンドでは無かった。
ライヴは新譜のタイトルにもなっている"ショート・フィルムズ"から始まる。もう一方のボーカルを担うギターの橋本が足踏みをしてリズムを取ると、振動が床から伝わって来る。続く"ナナイロネイロ"からは、疾走するリズムと幸せな焦燥感を煽るメロディーに、束紗と橋本のボーカルが入れかわり立ちかわり混ざり合い、時にはコーラスとなって二人同時に、自在にボーカルを変化させてゆく。そのタイミングと声質のバランスが絶妙。ステージ上の三人で間合いをはかりながら演奏の駆け引きを楽しんでいるようで、まさに「押さば引け、引かば押せ」の呼吸が聴いていて心地良いのだ。
「レコ発だから出来るような曲を今日は演ってみようかなと思います。久しぶりの曲を。」
そう束紗が語ると、"emore"が演奏され始めた。束紗は真っ赤なマニキュアをベースのネック上に滑らせながら、楽しそうに踊るようにベースを鳴らし、津波のように押し寄せるギターは何故だか静けさも感じさせる。演奏中、楽しそうな観客の表情を照明が時おり照らし出していたのだけど、観客の反応もアツい。アンコールでは、ギターの橋本に対して「眼鏡、最高っス!(眼鏡)飛ばして下さい!」と声援が飛び、和やかな笑いが起きていた。
三か月も前からゲストに迎えるバンドにオファーをかけていたという、今夜のツアーファイナル。アンコール最後の"青い月"に入る手前、束紗が「来年は絶対ワンマンを演りたい」と語っていた。その姿は、来年一気に成長した姿を見せてくれるに違い無い、そんな期待や予感も感じさせてくれたのだった。
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report by jet-girl and photos by sam
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