buttonジョン・バトラー・トリオ @ 渋谷クラブクアトロ (2nd Apr. '08)

一流の波を体感せよ

The John Butler Trio
「一流」という言葉は、一体どんなものに形容されるのか。僕はあまりよく知らないわけだが、4月2日の渋谷で出くわした3人については、おそらくその言葉を与えてもいいんじゃないだろうかと思う。

 ジョン・バトラー・トリオ。その名の通り、ステージにはたった3人しかいない。もちろん3ピースバンドなんて特段珍しくもないのではあるが、その音に触れてみた時、やはり思うのだ、「この音を3人で奏でているのか」と。歌のサビが終わればワァッと上がったかと思えば、巧みなギターソロの披露に対しても歓声が何度も自然発生する。オーディエンスの盛り上がりは、まるでステージからの刺激を、さざ波として受け止めているかのよう。いずれにせよ、このライヴが実に良い思い出となると確信できるような、そんな気持ち良さのあるリアクションが会場を支配していた。

The John Butler Trio 聞くところによれば、現地オーストラリアではホールツアーやフェスのヘッドライナーをも務めているという。確かに、数百人のオーディエンスに爽快感を与えた主役達の出音は厚く力強い。しかし、それだけではない。僕は何かこう悠々とした、あたたかく大きなものをこのライブに感じずにはいられない。何故か。

 思い当たる節はいくつもある。例えば、ワイゼンボーンがゆらゆらと漂うようなイントロからピンッと糸を張ったようになり、さらには歪むという展開を見せる"Treat Yo Mama(トゥリート・ヨー・ママ)"なんかがそう。1つの楽器で奏でられた1曲であるのに、なんと聴きごたえのあるものかと思わせてくれる。それだけではなく、ジョンは11弦ギターやバンジョーなど、楽器を替えてはその弦楽器のもつポテンシャルを次々とさらけ出していく。

The John Butler Trio 確かなテクニックによって自らのパートを表情豊かに表現しているのは、ほかのメンバーも同様のことだ。ダイナミックな演奏というブレない軸に、繊細なプレイが密に絡み合っているのだ。それが、ジョン・バトラー・トリオの音が持つ「大きさ」の正体なのかもしれない。

 野生馬のようなしなやかさと荒々しさの共存、それは15分あまりに及んだ中盤のインスト曲"Ocean (オーシャン)"で爆発する。照明によって白々と輝いていくジョンの姿、そして爪弾かれる壮大な、あまりにも壮大な物語…、ヒトとギターが表現する「海」で、これ以上のものはおそらく表せないだろう。そして、オーディエンスの多くは、たとえシラフであったとしても、あの演奏に「海」を見出したに違いない。満ち引き、激しさとやさしさ…すべてを持ち、すべてを包む海が、ステージ上で表現されていた。

The John Butler Trio そしてライブは後半へ向かう。衝撃を経て、オーディエンスとステージが一体になっていくのか、セット自体は全体的に強弱ある選曲だが、"Ocean (オーシャン)"というヤマを過ぎてから、会場のコーラスが加わる曲が増えた。"Zebra (ゼブラ)"ではリズムとしての声を、"Peaches Cream (ピーチーズ・クリーム)"は愛のささやき、そしてオーラスの"Funky Tonight (ファンキー・トゥナイト)"ではふたたび純粋な歓声として、会場をことあるごとに声が巡った。

 楽器を、グルーヴを、そして会場の空気を――それぞれを自在に操り、見渡す限り満足の顔で埋めていった、オーストラリアからの3人は、まさに一流! と、この日の記憶を頼りに、僕は評してみたい。

-- setlist --(原文まま)

Company / High / Thank You / Mama / Caroline / Satisfy / Gov / Ocean / Groovin / Zebra / Better Than / Excuse

-- encore --

Peaches / Funky
The John Butler Trio
report by ryoji and photos by hanasan

==>top page : JPN / ENG

buttonmag files : The John Butler Trio

button一流の波を体感せよ : (08/04/02 @ Shibuya Club Quattro) : review by ryoji, photos by hanasan
buttonphoto report : (08/04/02 @ Shibuya Club Quattro) : photos by hanasan
buttonphoto report : (08/04/01 @ Shibuya Club Quattro) : photos by yusuke
buttonphoto report : (06/03/08 @ Osaka Shinsaibashi Club Quattro) : photos by tommy
buttonphoto report : (06/03/07 @ Shibuya Club Quattro) : photos by yusuke


The official site

The John Butler Trio

http://www.johnbutlertrio.com/

check 'em? -->MySpace / iTunes


the latest album

The John Butler Trio

"Gland national"
(国内盤 / US import / iTunes)
previous works

"Better Than - Single"
(iTunes)
"Sunrise Over Sea"
(2枚組スペシャル・エディション国内盤 / 初回国内盤 / 通常国内盤 / US import / UK import / iTunes)
"Live at St.Gallen"
(UK import)
"Three"
(UK import / US import / iTunes)
"What You Want"
(UK import / US import[Enhanced])
"Living 2001-2002"
(UK import)
"Zebra(Maxi)"
(UK import)
"Something's Gotta Give(Maxi)"
(UK import)
"John Butler Trio(Maxi)"
(UK import)


check the albums?

ryoji's works

mail to

button2008

button一流の波を体感せよ : ジョン・バトラー・トリオ : (2nd Apr. @ 渋谷クラブクアトロ)
button春の背中、やみつきになる音 : キセル : (14th Mar. @ 渋谷クラブクアトロ)
buttonあなたを楽しませるためだけの120分 : ア・ハンドレッド・バーズ・オーケストラ : (29th Feb. @ 渋谷オーイースト)
button声の魅力に出合った夜 : ハンバート・ハンバート : (24th Feb. @ 心斎橋クラブクアトロ)
button育まれた、ふたりの音 : ハンバート・ハンバート : (25th Jan. @ 渋谷デュオ・ミュージック・エクスチェンジ)

button2007

buttonかつてない朝の訪れ : ア・ハンドレッド・バーズ・オーケストラ : (7th Oct. @ 朝霧アリーナ)
button未知との遭遇にハズレ無し : ザ・ベイズ : (6th Oct. @ 朝霧アリーナ)

button2006

button2007年、中山うりは何の夢を見る? : 中山うり : (12th Dec. @ 代々木ザーザズー)
button父の日記帳 : 中川五郎 : (4th Dec. @ 下北沢ラカーニャ)
buttonその30余りの人が、僕らを歓喜という楽器に変えてしまった : ア・ハンドレッド・バーズ・オーケストラ : (27th Jan. @ リキッドルーム恵比寿)
button原始回帰 : モグワイ w/あふりらんぽ : (25th Jan. @ 代官山UNIT)
buttonそして日本も手を叩く : クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー : (24th Jan. @ 渋谷クラブクアトロ)
buttonその先を、観たくなる : カイザー・チーフス+ザ・クリブス : (23rd Jan. @ リキッドルーム恵比寿)

button2005

button君よ、ニギヤカの色を見ろ! : 上々颱風 (10th Dec. @ 東京シネマ倶楽部)
buttonreview with no title : ロブ・スミス (2nd Oct. @ Asagiri Arena)
buttonreview with no title : ア・ハンドレッド・バーズ (1st Oct. @ Asagiri Arena)

button2004

buttonCD review : アジアが一番 復刻版 +秘蔵ライヴ録音 紅龍&ひまわりシスターズ & JIROKICHI DAYS 1988 : 上々颱風 (12th Jul.)
buttonうつつに灯る夢心地 : 上々颱風 (7th July @ Hanazono Shrine)
button「煌き」 : GAN-BAN NIGHT SPECIAL [BREAK ON THROUGH] VOL.1 SPACE COWBOY (28th May @ Nishiazabu SPACE LAB YELLOW)
button「伝説」 : THE VINES (19th May @ Shibuya Club Quattro)
button興奮はあった。パーティーは無かった。 : Squarepusher Japan Tour 2004 (15th May @ LAFORET MUSEUM ROPPONGI)
button書籍 Review : -P2Pという冒険- : 『ナップスター狂騒曲』 ジョセフ・メン(著)/合原 弘子(訳)/ガリレオ翻訳チーム(訳) (20th Apr)
button名レーベルが魅せたパーティーの真髄 : NINJA TUNE feat.Bonobo / Kid Koala / Coldcut / Hexstatic / Jason Swinscoe (2nd Apr @ Shibuya O-EAST)
button例外的ヒーロー : IGGY POP & the stooges (22nd Mar @ Shibuya AX )
buttonCD review : 『Somewhere Only We Know』 : Keane (2nd Mar @ Nagoya Diamond Hall)
button愛と思い出の夜 : Ben Harper & The Innocent Crimiinals (2nd Mar @ Nagoya Diamond Hall)
button熱帯雨林、そして野生のUAがクアトロに : AlayaVijana (20th Feb @ Shibuya Club Quattro)
button「iPODロッカー」?さあ、どうでしょう : JET (2rd Feb @ Shibuya AX)

button2003

buttonMovies Review : 映画『モロ・ノ・ブラジル』 : 監督:ミカ・カウリスマキ / 脚本:ミカ・カウリスマキ、ジョルジ・モウラ / 出演:セウ・ジョルジ、マルガレッチ・メネー / ゼスほか計31組のアーティスト等 (16th Dec)



無断転載を禁じます。The copyright of the article belongs to and the same of the photos belongs to (The Voice Of Silence). They may not be reproduced in any form whatsoever without the author's approval.counter
==>Back To The Top Page : JPN / ENG.