近藤智洋 & ザ・バンドファミリア @ 梅田 ハードレイン (6th July. '08)
解けない音楽の魔法
近藤智洋と梅田ハードレインには特別な何かがあるのだと思う。この会場でやったライヴがよくなかったことはまずないし、お客さんのノリはいつも上々。ここには音楽の魔法がかかっているのだ。『二つの鼓動』発売記念ツアー2日目は、そういうライヴのなかでも1、2を争うほどの素晴らしいさだった。客席に目をやりながら歌う近藤智洋、アイコンタクトでグルーヴを作りあげていくメンバー、それを見つめるオーディエンス。全員の顔に何度も、自然と笑顔が溢れた。
前半ピアノ、後半アコギセットと分けた前日の名古屋と違い、この日はピアノとアコギが巧妙に入り交じる展開。普通、楽器のチェンジが多いと慌ただしいような、落ち着かないような気分になりそうだが、このバンドに関してはそういう感じはまったくない。これが彼らのスタイルだから。レコーディングを経て、自信を持ってそう言いきれるバンドになったのだ。お互い目を合わせて笑いあったり、「前、行っちゃいなよ」という感じで近藤が山田貴己(E.G.)の背中をぽんと押すシーンがあったり…。去年の12月に同じ場所で観たときとは、音と気持ちの繋がりがぜんぜん違う。
本編は新旧合わせて全18曲。たくさん曲をやっているのに、流れはスムーズで、あっという間にも感じられたけれど充実感は十分すぎるほど。前半から飛ばした"Your Bike Ride"もピアノでの"静かな世界へ"も、去年もっとも多く歌われた"二人の航海"も。すべてが2008年のバンドの音になっていた。何度も客席側に入って演奏していた近藤智洋は、そんなザ・バンドファミリアの姿を見たかったのかもしれない。最後は、頭にやった"A New Morning"のサビに乗せて「バイバイ!」と手を振ってお別れ。「バイバイ、きっと新しい季節にきみに会いに来るよ。きっとさ! きっとさ!」と繰り返し歌う近藤。それは口だけではなく、きっと実現される約束になるだろう。ソロでもバンドでも、近藤智洋はまたこの場所に戻ってくる。ここには自分のことを心待ちにし、迎えてくれる人たちがたくさんいるのだから。
揃ってツアーTシャツを着て登場したアンコールは、スペシャルアコースティックセットでの"ここから"。これはかなり貴重なものを見られる場面だ。東京公演でもやるはずなので、詳細はその時に。ただ、絶対に見たほうがいいとだけ書いておこう。曲の美しい余韻が残るなか、再び元の位置に戻って、アルバムではピロ(Per.)と山田の3人でやっている"小さな欲望"をザ・バンドファミリアで。静かな歌いだしにひとつずつ音が重なっていき、大事なことを知っている人が持つ、切なくて優しくて強い歌の世界を作りあげていく。後半、全員の音が全開になった瞬間は鳥肌が立った。そこに遠慮をしているメンバーはひとりもいなかった。音楽が大きな渦になってステージから立ち昇っていくような感覚。圧巻だった。
予定外のWアンコールでは、近藤がアコギを持ったままピアノに上り、威圧的に煽るのではなく、楽しくなって上っちゃいました! みたいなやんちゃな笑顔を見せる。ここでもまた笑顔。最初から最後まで、たくさんこの表情を見た。今日のライヴを象徴するものだ。
近藤智洋&ザ・バンドファミリアは今、上昇気流に乗っている。5人がひとつになって、どこまでも上っていきそうな勢いがある。全員が口を揃えて「ここですごくいいライヴが出来たから、きっと次はもっと良くなる」と自信を持った目で話していた。バンドでのツアーファイナルは、7月9日下北沢クラブ・キューで行われる。5人が織り成す音楽の魔法を見逃さないように!
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近藤智洋 セカンド・アルバム『二つの鼓動』 発売中!
MySpaceで試聴ができます。
『二つの鼓動』発売記念ツアー
*近藤智洋&ザ・バンドファミリアでのライヴ
7月5日 名古屋クラブ・アップセット
7月6日 大阪・梅田ハードレイン(ワンマン)
7月9日 下北沢クラブ・キュー(ワンマン)
*弾き語り
7月12日 札幌ファッジ
7月13日 旭川アーリータイムズ
7月19日 鹿児島バー・モジョ(ワンマン)
7月20日 熊本ブリック・ア・ブラック
7月21日 福岡トゥペロ(ワンマン)
7月24日 三軒茶屋グレープフルーツムーン(ワンマン)
*詳細はオフィシャルサイトでご確認下さい
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photos by wacchy
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