ジャスティン・ノヅカ @ 原宿アストロホール (27th Oct. '08)
心に散らばっていく光
こんなにも早く表情や息づかいを目で追いながら、彼の歌声と共に過ごせるとは思いにもよらなかった。ジャスティン・ノズカのレビューを執筆した時に、会える日が訪れるのもそう遠くはないだろうと予感はしていたものの、前回の来日から3ヵ月という短い期間。その知らせから、子どものようにそわそわして、落ち着かない日々を繰り返すことになる。当日になってからも会場へ小走りをしていたほどだ。
自身のバンドを結成した彼は、カナダを中心にツアーを行っているのだが、ステージに置かれたのは2つの椅子。メンバーとして活動をしているマーク(Mark Pellizzer)が登場し、アコースティック・ギターとキーボードのある方へ腰を下ろす。その横にジャスティンがギターを手にして座ると、すぐさま緊迫した空気が満ちはじめ、薄暗くなったフロアから強い視線が彼らに送られていく。背伸びをしないと見えない位置にいる人からは「声が聞こえればいい」と口にされていた程、誰しもが目に見えては、静かに聴き入るのだ。もしくは、心まで届くようにと耳を澄ましているだけなのかもしれない。
光に彩られて、眉間にしわを寄せながら目を閉じているジャスティン。彼から放たれる世界は、まるで今もまだ残る傷跡を優しく剥がしていくようでもある。だから、彼らの姿が徐々に霞んで映っていくのだろう。ちょうど後半に入り演奏された"ビー・バック・スーン"からは、ゆっくり体を揺れ動かしている観客もいたのだが、やはりステージからはリズムを刻む足音をも響いていた。
デビュー・アルバムとなる"ホーリー"からは11曲を披露し、アンコールのラストでは、ジャスティンただひとりとなる。マイクを遠ざけて、スピーカーさえも挟むことのない自然な音色が、母への愛が込められた"オー・ママ"に託されていく。あなたの差し伸ばしてくれる手がなくては、生きていけないと彼が歌にするように、耐えきれないことがあった時、そっと背中を触れてくれる温度あるだけで、強くなれたりもするだろう。それに似た感覚を覚える声があるのだ。そうして幾度となく胸を締め付けられては、彼の存在が作り出したのではないだろうかと疑ってならない黄色く染められた灯りを、いつの間にか月を見上げるようにして、ぼんやり眺めていた自分がいた。それほど心地よい時間であったのだ。
途中のMCでは「ありがとうございます」との言葉だけを日本語で話すジャスティンだが、これから勉強していくとのこと。ただ、その一言は最も大切なのではないかと改めて実感してしまう。裏を返せば、それだけを発する彼が微笑ましくもあるのだ。曖昧に過ぎてしまう日常の中で、そのような当たり前のように感じてしまっていることが浮かんでは消えていったのだが、忘れることのないよう留めておきたい。
そして、東京でのライヴ後には福岡から名古屋へ。次に大阪に向かって、テキサス州オースティンで開催されるフェスティバルを手本としているミナミホーイル2008に出演したようだ。
9月29日に誕生日を迎えて20歳となったジャスティン・ノズカ。これから年齢を重ねる度に変化していくこともあるだろう。それを含めて、見続けていこうと思う。
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report by ai and photos by hanasan
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mag files : Justin Nozuka
心に散らばっていく光(08/10/27 @ Harajuku Astro Hall) : review by ai, photos by hanasan
photo report(08/10/27 @ Harajuku Astro Hall) : photos by hanasan
CD review : Holly (08/08/15) : review by ai
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