Travis @ Nagoya Diamond Hall (25th Feb. '09)
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朝からの雨は昼にはあがり、ライブ前には少し肌寒いくらいの風が吹いていた。まさかここまで雨を連れてくるか、そうも思ったが、さすがに自然は意のままにはならない。それでも彼らの音は、会場を埋め尽くした観客の心を完全に捉えていた。
会場を埋めた世代はバラバラ。Tシャツ姿の20代の子がいれば、仕事帰りの社会人、年配の方もちらほら見られた。「ドレミの歌(SE)」が流れメンバーが登場すると、会場からは悲鳴にも似た歓声があがった。その声に呼応するように、一曲目「チャーニーズ・ブルース」からフラン(ギター/ボーカル)の勢いも最高潮。最前列の観客に近づいたり、ステージを暴れまわり、一気に会場の温度を上げていく。
ライブ中盤からは少し落ち着いた曲が続く。それでもイントロが始まるたびに悲鳴があがり、サビでは大合唱が響き渡る。フランは時に手を左右に降らせたり、合唱を求めたり、常に会場に呼びかけていた。
「シング」のイントロが流れたその時。ひときわ大きな歓声が上がる。この曲に限らないが、トラヴィスの音はやっぱり野外で聞きたい。特に大自然の中で。太陽、風、草原、土の匂い…目を閉じて聞いていると、そんなものが暗闇に浮かんでくるように思える。牧場の中で、寝転がって空を見ているときに流れてくるような、ごくごく当たり前の音。ここまで”自然”に感じさせられるものは何なんだろう。音楽的なことが起因しているのかもしれないが、それでも心地よい自然さを感じさせてくれるバンドなのだと思う。
ライブ後半は、また激しい曲が繰り広げられる。「アズ・ユー・アー」のドラマチックな展開には、大合唱を繰り返していた観客も固唾を呑んでステージを見つめる姿も。そして本編のラストは「ターン」。イントロの瞬間、会場からは割れるような歓喜の声が。サビでは何度も大合唱を繰り返し、フランも満面の笑みを浮かべていた。
アンコールではフランがベース、ダギー(ベース)がギターを持ち、「リング・アウト・ザ・ベル」をダギーが歌い上げた。そしてアンコール3曲目で、MCを交えながらメンバーが前に集まる。フランがアコースティックギターを持ち、後ろにメンバーが並ぶ。聞こえてきたのは「フラワーズ・イン・ザ・ウィンドウ」。マイクを使わず、生音で聞かされるフランの声、ギターに、思わず涙が出そうになった。こんな素晴らしい贈り物があるとは思っていなかったので、完全に心を持っていかれた。陳腐な表現だけれど、本当に胸が張り裂けそうなくらいに感動した。
フランからは「次は10年以内に必ず来るよ、約束する」という言葉が聞かれた。信じている。でも、ライブハウスよりもやっぱりトラヴィスは野外で聞きたい。たとえ雨であっても、それでも酔える音を奏でるのだから。ラスト「ホワィ・ダズ・イット・オルウェイズ・レイン」を聞きながら、野外で聞こえる音を想像していた。
-- set list -- (原文まま)
CHINESE BLUES / J SMITH / SELFISH JEAN / WRITING TO REACH YOU / RE-OFFENDER / SOMETHING ANYTHING / LONG WAY DOWN / LOVE WILL COME THROUGH / CLOSER / SIDE / DRIFTWOOD / FALLING DOWN / SING / AS YOU ARE / SONG TO SELF / BEFORE YOU WERE YOUNG / COLDER / TURN
-- encore --
RING OUT THE BELL / MY EYES / FLOWERS IN THE WINDOW / WHY DOES IT ALWAYS RAIN
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comment and photos by yoshitaka
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