浅井健一 @ 昭和女子大学人見記念講堂 (28th Jun. '09)
静寂のイメージ
お馴染のSE"太陽がいっぱい"をバックに浅井健一とバンド・メンバーがステージに現れ、"2人の旅"のイントロが流れると、場内が一気に冬の空気になった。外は梅雨時の雨で蒸し暑いのに。フロアはソロプロジェクト再始動への熱気で総立ちなのに。最初はひとりで歌い始めて、それからヴァイオリンが入って…静けさを保ちながら気持ちは上げていく感じ。そうか、このクールさが今のベンジーの世界なのか。天井の高いホールの雰囲気と音楽がぴったり重なった。
ブランキーやユダの時に、フロア前方で繰り広げられていたモッシュ&ダイヴ合戦のような激しい空気はまったくない(イスがあるから、とかそういう物理的な問題ではなく)。バックのメンバーが変われば、スパイスが変わる。何度もライヴで聴いたことのある曲も、今日の穏やかな味付けで流れていく。会場の雰囲気もあってか、拍手の音すら荘厳に感じられ、目をつぶって聴いてもいいかなと思ったけれど、もったいないからやらない。起こっていることすべてを目に入れておきたいから。このまま青い静寂のイメージで行くかと思った中盤、7月に発売される『フレンドリー』では少し風景が変わった。ベンジーがならすアコギの音からは、からっと晴れて乾燥した広い大地が見える。アルバム、『ジョニー・ヘル』のブックレットでベンジーがバイクを走らせていたあの場所のような。この日、初めて太陽の光を見た気がした。
その後、新曲、"大きな木"、ヴァイオリンを指で弾く音が耳に残る"哲学"、"スプリング・スノー"と静けさを取り戻したステージ。このまま終わったら、ちょっと不完全燃焼かも…。と思い初めたとき、"愛のチュッパ・チャップス"でいきなりペースを上げてきた。さすが、やっぱりこういう場面も欲しいというファン心理もくんでくれる。そして、なんといっても圧巻は本編ラスト2曲だった。"ディズニーランドへ"でヴォルテージを最高潮に上げ、そのまま"ポーラ・ローラ"へ。最後の歌詞、「Good Night(グッド・ナイト)」を歌い終えるとステージが暗転し、そこには満天の星空が現れた。この演出には掛け値無い拍手がおこり、あちこちで感嘆の声があがっていた。
セットリスト、美しい照明の演出も含め、素直に「もっと見たい…」と思わせるライヴだった。お約束ではない、本物のアンコール×2。"何も思わない"で青く冷たい炎を残して今日の公演は終了した。まさに「聴かせた」ライヴ、この後はしばらくこの路線でいくのかな、と予想する。これが今表現したい"浅井健一"なのだろう
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report by wacchy and photos by sam
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静寂のイメージ (09/06/28 @ Hitomi Memorial Hall Showa Women's University) : review by wacchy, photos by sam
photo report (09/06/28 @ Hitomi Memorial Hall Showa Women's University) : photos by sam
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